過去の自分の限界に挑戦し間下

目標のパラオの「石廊」に潜りました。自分の想い入れのあるポイントです。どういったところかというと…

テクニカルダイビングを始める前、正直ダイビングへの情熱が失われていました。インストラクターについて行って海をブラブラして時間を潰し、その後お酒を飲んではしゃいで終わり…海での鬱憤を晴らすように酔い潰れていました。

最後の方ではエキジットした時に初めて体験したことがあって興奮している人と温度差を感じながらも、自分を偽って「楽しかったですね。良かったですね。」と言っている自分に嫌気も感じていました。
でもなんとなく自分の居場所ぽくなっていたダイビング仲間との絆が大事だからとか言い訳しながらダイビング続けていくんだろうなとは思ってました。俺っぽいなと…。

そんな時に身内に不幸があって自分の生き方について考えさせられる機会がありました。
今死んでも思い残すことはないのかな?誰が言ったかわからない一般的な幸福論じゃなく本当に自分が楽しいと思える瞬間ってどういう時だろう?とか考えていました。

そんな時にふと思いついたのが以前潜ったパラオの「石廊」という沈船での出来事でした。潜った時に外から内部を覗き込んで「この内部はどのようになっているんだろう?」と好奇心を掻き立てられました。

でもその当時の自分にはペネトレーションの知識は無く中に入っていくのはムリでした。その時聞いたのが中に入っていくにはツインシリンダーでかつ特別なトレーニングが必要だということでした。

そんなのは選ばれた人だけが出来て自分なんかでは無理だと…自分はこれが限界だなと思いました。その時のことを思い出して、本当に無理なんだろうか?何も挑戦せずに自分の限界を勝手に決めつけていないか?と思い一大決心してテクニカルダイビングを始めました。そんな自分の限界に挑戦するきっかけを作ってくれたのが「石廊」です。

 

そんな想いいれのあるところなので、パラオにいく前から相当プレッシャーを感じていました。そのプレッシャーは現地についても食事をとっても睡眠してもボート上でも水中でも無くなることはありませんでした。そういう状態なので初っ端の別のポイントでのダイビングの時にありえないミスをしてしまいました。

その時は「俺何やってきたんだろう」「ツライ、一人になりたい」でも「ここまで来てやめるわけにはいかない!」と思い潜り続けますが、思い通りには潜れないものでほとんどペネトレーションできませんでした。たかが半年間のトレーニングではダメだな、まだまだ自分の実力がなさ過ぎると痛感させられました。

でも最後の方にはほんの少しだけですが沈船内部に入っていけるようになって、いよいよ石廊に潜ることになりました!声も出せなくなるぐらいドキドキワクワクしながらポイントまで行き、自分が先頭でラインを張りながら入っていきました。

石廊の内部に入るまではいつも通りのトレーニング感覚だったのですが中に入って視界が開けた瞬間、これは実践なんだと自分の様々な感情が湧き上がってくるのがハッキリとわかりました。(自分の主観ですが)沈船中は今まで時間が止まっていて自分が入った瞬間から時が動き出したかのような錯覚に陥るような幻想的なものでゾクッとしました。そんな空間に自分でラインを張って進むにつれて今自分の限界を更新し続けていることに(自分自身の)楽しさを感じました。その後無事にボートまで帰ってきて思ったことは…ヤバイ楽し過ぎる辞められないな、これはまだ自分の限界ではないはずだと!

第一の挑戦を終えて今まで自分のダイビングの領域が非常に狭かったことに気付かされました。もう自分のダイビングはこんなもんだと思い込んでたのを見事に破壊してくれました。正直、自分にはダイビングのセンスはないのでダイビング史に偉業を残すような発見や記録を打ち立てるような事はありえないでしょう。でも自分自信にとっての発見や記録を打ち立てることはできる。そして、その瞬間がこの上なく楽しい。なのでこれからもダイビングに熱中し続けます。

さらなる挑戦に続く…