大のカナヅチで海が大嫌いだった私 第2話

スティングレイ・ジャパンスタッフでありDiveSpiritメンバーの鈴木智子ブログです。
「大のカナヅチで海が大嫌いだった私」シリーズは、私がダイビングに出会うまでの実話を連載していきます。
当時の素直な感想、感覚を文章にしています。どのように私の心境が変化していったのか?最終話までお付き合いいただけると嬉しいです。

勇気を出して訪れた、ダイビングショップ「スティングレイ・ジャパン」との出会い。
体験ダイビングの説明を聞き、「できるかな?」と少しやる気を出したのも束の間、社長(野村昌司さん)の姿を見て衝撃を受けた私。
社長とは挨拶だけ交わし、帰宅しました。

自宅へ帰宅した私は考えていました。
「あんなにチャラチャラして不愛想な人が社長なんて…。なんか怖いし。姉のミヤコはあの社長のもとでダイビングのプロを目指してるのか…。やっぱり気持ちはのらないけど、もう申し込みしちゃったし、体験ダイビングだけやって、あとはミヤコに乗馬の世界にハマってもらおう」※当時私は乗馬をしていました。第1話参照

中学生の私

来店時、丁寧な説明を聞いて納得したはずなのに、ダイビングが近付いてくるにつれて、高まってくる緊張感。
「やっぱり嫌だな…水が怖くてたまらないのに、潜るのか…」

私「ねぇ、ミヤコ、海行く時ってどんな格好で行けばいいの?化粧していって良いんだよね?」
ミヤコ「強めのウォータープルーフじゃないと、目元まっくろになるよ。化粧はやめたほうがいいよ」

えっ!嘘でしょ…。それじゃどうしたらいいの!

当時の私は盛り髪に化粧命で目元バサバサ、アイラインガッツリでキラキララメラメのメイクがポリシー!すっぴんなんて本当に有り得ない。マジで嫌だ!

当時の私

※女性の皆様へ→今は良いウォータープルーフの化粧品はたくさんあります。ミヤコも私も今はダイビングの時もダイビング仕様お化粧しています。目と海に優しく、自然環境を汚さない化粧品を使って、是非ご自分の好きなオシャレしながらダイビングを楽しんで下さい!スティングレイ・ジャパンは女性ダイバー応援しています!

そして…2007年8月13日。
早朝、店舗にて集合し、一緒に海へ出かける他のゲストの方達と挨拶。不安や疑問、聞いておきたいことが増えていたので、車内でインストラクターに質問ばかりしていました。他のゲストの方は皆優しく話してくれるし、当時のSRJスタッフ(O口さんと皆Gさん、D井さん)は明るく面白く丁寧にいろいろなことを教えてくれた。スタッフの方たち、良い人なのに、なんで社長についていってるんだろう…。社長はあんなに不愛想なのに…。

行先は西伊豆 大瀬崎。どうやら夏の合宿をしている他のゲストの方が数日前から泊まりで参加しているらしく、社長はゲストの方と現地サービス「オスパー」さんで既に泊まっているらしい。つまり社長はツアー車には乗っておらず、現地で合流することになる。
車一緒じゃなくて良かった…社長は感じ悪いし、質問しにくいから、あんまり会いたくないんだよなぁ。

当時のオスパー

数時間で大瀬崎に到着。初めてオスパーさんを訪れた私を、オーナーの西堀さんご夫妻が大歓迎してくれた。「ミヤコの妹なんだって?似てるねー!よく来たね!」当時はオスパーさんにコーギー犬「じゃじゃ丸」と「スルガ」がいて、大の犬好きな私は、とっても可愛いですねぇと喜んで撫でていた。

そんな時、施設の中から社長が登場…。
「あっ、おはようございます!」私が緊張しながら話しかけると、社長は「おはようございます、よろしくお願いします。あれ?なんか、店に来た時と顔違うね!」と大笑いしている…。「ミヤコに化粧はしないほうがいいって聞いたので…」と言うと、「なんで?化粧してくりゃ良かったじゃん。全然顔が違うよ。ははは!!」……。無邪気に大笑いする社長を見て、なんてことを言うんだろう…この方は…!?と思いながら、より一層社長のイメージはダウン…。(これは後々思うことだが、確かにツッコミたくなる位に顔が違ったと思う)

当日の野村

スティングレイ・ジャパンからはインストラクターが3名、アシスタントが2名。テクニカルダイバーチームと体験ダイビングチームにわかれて開催するとのことだった。
テクニカルダイビングというものがどんなものなのかはわからなかったけれど、ダイビングが上手な方達なんだろうな、という印象だった。
社長とミヤコはテクニカルチーム担当、体験チームは私を含めて3名のゲストに対してインストラクター2名とアシスタントが1名だった。
「別々に潜るけど、最後に合流するから水中で会おう」と社長に言われ、「水中で合流??どうやって?そんなことができるの?」なんてことを考えていた。

まずは陸上で担当インストラクターから、水中世界の魅力、大瀬崎について、水中の成り立ちや、今日はどんなことするのか?などなど説明を聞いた。
器材を背負ってどんな風にエントリーして、まずなにをするのか?どこまでいくのか?どんな生き物と出会えるか?
じゅうぶんすぎるくらいに説明を聞いて、ちょっとずつ楽しみな気持ちも出てきていた。

いざ、器材を背負って、エントリー!
体が水に浸かる感覚、背中あたりまで浸かるとちょっとドキドキしてきた。
まずは足がつくところで、立ったままレギュレーターから呼吸をしてみた。
慣れない感覚だけど、うん、普通に呼吸できる。これならできるかも…。精神的に落ち着き、浅場のスキルも自分的には特に問題なく行うことが出来た。

他のゲストの方も順調に進み、今度は水中探検に行くことに。

立てる場所から、少しずつ、ちょっとずつ、移動…。
直感的に、「もう、足がつかなそう…」と不安な気持ちが一気に爆発!!!余裕がある気持ちから一転、急激にこわくなり、不安で息苦しくなり、ギリギリ足がつく場所で、水面に顔を出しました。

ブワッ!!!!

すぐにインストラクターが水面へ。
「どうした?」

私「こわいです!この機械(レギュレーター)、呼吸できない!苦しい!」
インストラクター「苦しい?ちょっとかして(私のセカンドをくわえて呼吸してみる)スーハ―、スーハ―…」

インストラクターが私のセカンドの流量調整バーを触り、確認した後、「これでどう?」
もう一度呼吸してみるが、やっぱり苦しく感じる。
「ダメです。呼吸できない。壊れてるみたいな感じ!」
インストラクター「わかった、ちょっと待ってて」

真下の水中にいるアシスタントを水面に呼び、アシスタントがインストラクターが背負っている器材のレギュレーターを取り外し、私の背負っているものと交換してくれた。インストラクター「これは私がずっと使っていて、吸い心地も良いよ。是非これを使ってみて。」
交換したレギュレーターを水面に顔をつけて吸ってみる。
…やっぱり苦しい。どうしても吸いづらいような感じがする。

もう、これ以上は無理だと感じた私は、「すみません。本当に申し訳ないのですが、私もう、ダイビング辞めます。迷惑かけちゃって本当に申し訳ないのですが、もう怖いし苦しいので、無理です。せっかくミヤコが誘ってくれたし、皆さんにも教えてもらったのですが、無理です。ごめんなさい。」

呼吸は乱れて、怖くて、ドキドキして、涙が出そうだ。

なんだか恥ずかしくて情けない気持ちでいっぱいになりながら、私にはダイビングは無理だと、感じていた…。

※私が怖くなった際に使用していたレギュレーター、そしてインストラクターが使用していたレギュレーターは、私の精神状態により苦しく感じているもので、レギュレーター自体は適切なメンテナンスとチェックを行い、当日も問題なく機能しています。

第3話に、続く…。